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明星学苑報WEB版

理事長座談会 いわき明星大学の地域密着型の教育が、新しい地域貢献の形を生みました。

「全人教育に基づいた、地域社会に貢献できる人の育成」を教育目標に掲げる、いわき明星大学。昭和62年の開学以来、地域とともに歩み続け、地元で活躍する卒業生も数多く輩出してきました。
福島県いわき市という土地に密着し、地元の方々に愛される、いわき明星大学ならではの“地域貢献”について、 関口学長と田中副学長に具体的な取り組みをお聞きしました。


環境に関する大学独自の“資格”
「環境エネルギー教育リーダー」
蔵多 いわき明星大学の開学は、いわき市からの精力的な働きかけに明星学苑が応える形で実現されたビッグプロジェクトでした。児玉九十先生、児玉三夫先生が当時のいわき市長と綿密な打ち合わせを重ね、昭和62年に開学したわけですが、いわき明星大学は、いわば、いわき市と二人三脚で誕生し、現在もまた、地域とともに成長を続けている大学だといえます。教育目標にも「全人教育に基づいた、地域社会に貢献できる人の育成」と、しっかりと“地域社会への貢献”が明記されていますが、本日はその辺りの具体的取り組みについてお話をお聞きしたいと思います。
関口 現在、科学技術学部、人文学部、薬学部と3つの学部を持つ本学ですが、それぞれの学部ごとに、地域貢献にもつながる特色ある活動を展開中です。  まず科学技術学部では、環境エネルギー教育リーダー、通称E3(Education for Environment and Energy)リーダーの育成に取り組んでいます。これは平成19年度に文部科学省の現代GP(現代的教育ニーズ取組支援プログラム)にも選定されたもので、環境問題やエネルギー問題に造詣が深く、環境エネルギー教育において指導的な役割を果たせる学生の育成を目標としています。最大の特色は、大学独自で“資格”の認定制度を設けたことです。資格は3段階に分かれており、初級の「E3スタッフ」は環境教育の視点を持ち、自己啓発できる人材、中級の「E3チューター」は環境教育の現場で指導補助ができ、環境ボランティア等にも寄与できる人材、そして上級の「E3リーダー」は環境教育の現場で指導・マネジメントができ、また企業においても環境関連ISO取得等の業務で中心となれる人材と位置づけています。
蔵多 どのようにすれば資格が取れるのですか。
関口 独自の「環境エネルギー教育認定科目」を開講し、所定の単位を取得することで資格が授与されるシステムです。認定科目の例を挙げると、「自然体験プログラム」では、いわき市と隣接する古殿町の協力を得て、自然公園を“探検”したり、森林での間伐作業を行ったりなど、学生たちは自然との貴重な交流を実体験します。また、「環境エネルギー教育実習」では、エネルギー教育に積極的ないわき市立中央台東小学校と連携し、小学生たちのエネルギーに関する学習発表会のサポートを本学の学生たちが行いました。環境エネルギー教育者として有意義な“実践教育”だったと思います。その他にも地元のNPO法人「いわきの森に親しむ会」の方々に講師を依頼した授業もあるなど、地域の方々との深い連携があるからこそ成立している取り組みです。
蔵多 この取り組みを通じての成果を教えてください。
関口 参加した学生たちが「環境」に関して積極的になったと実感しています。先日も商工会議所の「エコ検定試験」を自発的に受験した学生たちがいて、かなり難関な資格なのですが8名の合格者が出ました。さらには「農業愛好会」を立ち上げ、自ら地域に飛び出して田植えを手伝うなどの活動を行った学生たちの報告も聞いています。
 もうひとつ喜ばしく感じているのが、地域の方々からの本学への働きかけが多くなってきたことです。前述の古殿町からは、廃校になった小学校校舎の有効活用に知恵を貸してほしいと協力要請があったり、NPO法人いわきの森に親しむ会からも、本校キャンパスの敷地内に「自然観察道」を作りませんかとのご提案をいただきました。どちらも前向きに検討中ですが、こうした地域とのつながりがさらに広がればうれしいですね。
蔵多 それは素晴らしいことです。その他にも「菜の花プロジェクト」の取り組みもありましたね。学生たちで菜の花を育てて、菜種油を抽出し、さらにそれを燃料にしてバギーカーを走らせるという夢のようなプロジェクトです。学生たちは貴重な体験をしているようで羨ましく感じます。
 ところで現代GPとしての3年間の取り組みは前年度で終了したわけですが、今後の環境エネルギー教育者養成プロジェクトはどのようになるのですか。
関口 せっかく基盤が整った段階ですので、今後も科学技術学部独自の取り組みとして継続させる予定です。そのために今春の学部改編でも、新しく環境エネルギーコースを新設しました。これらの取り組みをさらなる地域への貢献に結びつけたいと思います。


明星学苑の教育理念を実感・体得
ボランティア体験は貴重な教育の場
蔵多 続いて、人文学部の取り組みについて聞かせてください。
関口 人文学部の特色ある活動は、災害復興支援のための人材育成と学生の自己形成に向けた体験型教育として「災害ボランティア演習」を、一般教育課程のカリキュラムに取り入れていることです。その背景には、ご存知の通り平成16年に発生した新潟県中越地震の被害があります。隣の県でもあり、また本学にも多くの新潟出身の学生が在籍している縁もあり、大学として学生を含むボランティアを現地に派遣しました。学生たちは現場でさまざまな体験をしたわけですが、それらの貴重な体験は「教育」に値すると判断し、平成18年度からカリキュラムに取り入れたわけです。新潟の被災地が落ち着いた現在は、県内外の豪雪地方に出向いての除雪ボランティアも実施しています。災害ボランティアという地域貢献活動を通じて「実践躬行」「健康・真面目・努力」など、明星学苑の教育理念を実感・体得することができると考えています。
蔵多 私も学生時代、孤児施設でボランティア活動に参加したことがあります。そのときは松林を開墾してピーナッツ畑にするという作業で、かなりの重労働でした。でもボランティアを経験することで、何かものの見方が変わったことを覚えています。基本的には“他人のため”に何かをすることがボランティアですが、本質は“自分のため”でもあるのです。しかも、まさに明星学苑が掲げる「体験教育」につながる取り組みですから、若い世代の学生たちには、ぜひ積極的にボランティアに参加し、地域との交流を深めてもらいたいですね。きっと将来の財産になるはずです。
関口 その通りだと思います。実は、地元の方々から「もっと学生を地域に出してほしい」との声も数多く届いています。地域交流館内にボランティアビューローを設置していますが、明星大学のボランティアセンターのように専門スタッフを配した施設の必要性も感じているところです。
蔵多 そうですね。私も時々「きらボ」に顔を出しますが、いつも学生たちがいて、いろいろな活動をしている姿を見かけます。何か学生たちの“居場所”になる空間は大切だと思いますね。
関口 ボランティアに参加した学生たちからは、「大変な作業が多いけれど達成感を感じました」「地域の方々と助け合う大切さを学びました」「人から感謝される喜びを知りました」など、充実感が伝わるような嬉しいコメントがたくさん届いています。できる限り多くの学生たちに体験教育の場を用意したいですね。

※「きらボ」…明星大学日野校にある『きらきらボランティアセンター』の愛称。


優秀な人材の輩出が最大の地域貢献
地域を支え、地域に支えられる薬学部
蔵多 では、続いて薬学部の取り組みについてお願いします。
田中 薬学部は、いわき明星大学の創立20周年記念事業の一環として、平成19年4月に開設されました。開設と同時に学部長に就任し、薬学部の立ち上げに注力させていただきましたが、いわき市の現状を考えれば、この地に薬学部ができること自体が大きな“地域貢献”になると捉えています。現在、東北地方における薬剤師不足は、かなり深刻な問題です。福島県内では薬局が求人を出してもなかなか人が集まらないとの話も聞いています。本学が薬学部の設立を文科省に申請する際も、福島県の医師会、薬剤師会等からの強い要望書が添えられた背景がありますし、地域からの大きな期待を肌で感じています。
蔵多 そんないわき明星大学ならではの薬学部の特色は何ですか。
田中 臨床の現場で活躍できる問題解決能力のある薬剤師を育てるためには、まず基礎学力とコミュニケーション能力が必要です。そこで薬学の基礎となる数学、物理、化学、生物等については、90分授業を週2回実施しています。日本の多くの大学では週1回の授業が多いのですが、週2回の授業によって知識の蓄積がより高まります。その後の専門科目の理解度も良くなると考えています。
 また、もうひとつ本学部の特色と呼べる科目に「フレッシャーズセミナー」が挙げられます。これは大学生として自ら考え、自ら学ぶ姿勢を学生たちに身につけてもらうための導入的学びです。例えば、授業の前半は教員の講話を聞き、後半はグループに分かれてディスカッションを行うのですが、グループで話し合った内容についてプレゼンテーションしたり、レポートにまとめたりなど、大学で学ぶために必須となる実務能力の習得を目標とします。薬学部は6年制の長丁場ですから、まず初めの段階でつまずかないよう、学生たちに良いスタートを切ってもらいたいとの思いもあります。
蔵多 この春で第一期生が4年生になりましたね。
田中 いよいよ薬学部にとっては“勝負の年”になります。学生は5年生から病院や薬局での「実務実習」が始まるのですが、実務実習に参加するためには、4年生の間に実施される「薬学共用試験」に合格しなければなりません。もし合格できなければ実習に参加できないどころか、5年生に進級することもできないのです。4年生の学生たちはもちろんのこと、山崎学部長を先頭に、全教員が何とか「全員合格」を実現しようと日夜努力しているところです。
蔵多 これまでの4年間の成果は、何か形として見られますか。
田中 薬剤師の国家試験予備校が毎年、実力テスト(アチーブメントテスト)を実施しており、本学部では学生の学力を把握するために参加しています。昨年の9月に行われたテストでは3年生(現4年生)の平均点を同じ科目を受験した他大学5校と比較した場合、本学部の平均点が最も高いとの結果がでました。しかも他の5校の入学時偏差値は本学部より上にランクされています。学生たちが入学してから、いかに頑張ったかの証明です。付け加えると、この6校の学生658名の総合個人成績において、本学部の学生がトップも含めてベスト10に6名入っていました。
蔵多 ぜひその勢いを本番の「薬学共用試験」に結びつけてもらいたいですね。ところで、薬学部における地域連携という意味では何か具体的な例はありますか。
田中 5年生からの実務実習に関してですが、実習生を受け入れる病院や薬局には、学生への指導を行うために、日本薬剤師研修センターが認定した「認定実務指導薬剤師」の資格を持った薬剤師の所属が求められます。そこで本学の学生が実習に参加する平成23年度を見据え、いわき市内の病院や薬局の薬剤師の方々が、実習の受け入れ先を少しでも広げるべく、日常の業務の合間に勉強し、積極的に資格取得をめざすなど、全面的に協力してくださっているのです。17~21年度の間に実施された土日のワークショップに参加して資格を取得した「認定実務指導薬剤師」の数はほぼ充足するまでに至っています。
蔵多 それは大変有り難いことですね。若い薬剤師を育てるべく、地域全体がサポートしてくださる。これこそ、地域に望まれて誕生したいわき明星大学の目的や経緯そのものの取り組みと言えそうです。地域の期待に応えるためにも、学生たちの指導にますます力が入りますね。


地元のニーズにしっかり応えることが
地方の私大が生き残る最善の道
蔵多 昨今、私立大学の経営者が集う会合等に出席しますと、決まって地方私立大学の“生き残り”が大きな問題のひとつになります。いかに「独自性」「特色」を明確に打ち出せるかが勝負です。今日お話を聞いていて、やはりいわき明星大学の強みは、強固な地域連携にあると感じました。
関口 本学では開学当初から地域の方々を対象にした「公開講座」を定期的に開催しています。通常は大学のキャンパスで行いますが、昨年度からは新たな試みとして市と連携し、いわき駅前に会場をお借りしました。より多くの方々を集めることができて大盛況でした。
田中 薬学部独自でも医師や薬剤師など医療従事者が抱える問題の解決に少しでも貢献するべく、薬学セミナー・生涯学習セミナーやシンポジウムを積極的に開催しています。医師、看護師、薬剤師が対象ですが、地域の一般の方も多く参加してくださり、あらためて医療分野への関心の高さを実感しました。
蔵多 いわき明星大学では高大連携にも積極的ですね。
関口 はい。現在、地元の高校3校と連携しています。平成17年のいわき光洋高校、平成18年の平工業高校に続き、今年の春からは磐城農業高校とも提携を結びました。高校生に大学の講義を開放したり、施設や校舎を利用してもらったり、また先生方との交流のため高大連携で共同研究にも取り組んでいます。
田中 実は福島県は、大学への進学率がワースト5に入る土地柄ですので、高大連携の取り組みが、高校生たちの大学進学への働きかけになることを期待しています。
関口 さらに地域への貢献との意味で言えば、心理相談センターの存在もその活動の一環です。大学院生の実習の場としても活用していますが、専任のカウンセラーも勤務し、地域の方々の心の相談に対応しています。
田中 さらに学習面の話でいいますと、現在、教育改革に取り組んでいるところですが、そのほかに本年度から課外講座としてIMUビジネスカレッジを開始しました。「公務員・ビジネス」「簿記」「英検」の3講座で公務員や教職、その他の就職に役立つものと期待しています。薬剤師と同様、地元で活躍する優秀な人材の育成こそ、最大の地域貢献だと考えています。
蔵多 確かに地方の私大が生き残るには、地域の明確なニーズをしっかり掴み、その声に応えていくしかありません。地域連携に関して、数多くの素晴らしい施策を展開しているいわき明星大学ですから、これからの取り組みにも大いに期待しています。いわき明星大学の進む道を、法人としても全力でバックアップしてまいります。市民に愛され、市民の誇りとなる大学でいられるよう、より一層の努力をともに続けていきましょう。本日はありがとうございました。