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学校法人 明星学苑

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明星学苑報WEB版


この土地に、できることを。
菜の花プロジェクト
 
 

蔵多 「みなさん、先日の東日本大震災によって様々なご苦労を重ねているなか、このようにお集まりいただきありがとうございます」
一同 「ありがとうございます」
蔵多 「ここ、いわきも依然として大変な状況にありますが、みなさんの頑張りで、5月連休明けに授業を再開できたことをうれしく思います」
一同 「ほんとうに。うれしく思います」
蔵多 「今回の震災で、私たちが果たすべき役割は益々多くなっているのではないでしょうか。これまでも多彩な活動をされていますが、今日は〈地域とのつながり〉をテーマに震災前と震災後、その実際をみなさんにお聞きできればと思います」
関口 「まず、菜の花プロジェクトが挙げられますね」
蔵多 「私、昨年収穫された菜種油を頂きました。〈太陽の恵み〉、いい名前ですね」
関口 「学生さんがつけた名前なんです」
上遠野 「いい香りですよねぇ」
蔵多 「香りもそうですが、なによりエコロジーですよね」
関口 「キャンパスの近くに合計面積190アールの4つの畑がありまして、使用済みの菜種油からバイオエネルギーを取り出す研究を続けてきました。今年で5年目を迎えます」
蔵多 「何学科の学生が始めたプロジェクトなのですか?」
関口 「生命環境学科の学生たちです。休耕田を活用し、循環型の地域形成の一助になれば、ということが目的でした」
蔵多 「そこへ、今度の震災が発生したのですね」
関口 「いま、プロジェクトの新しい価値を発揮するときだと思います。菜の花にはセシウムを吸収する効果があるんですよ」
蔵多 「福島の浜通り一帯を菜の花で埋め尽くす!」
関口 「そうなれば理想ですね。チェルノブイリでも菜の花やひまわりが力を発揮していますが、あの土地は地面から深いところに放射性物質があります。日本の場合は表面にあるので、横へ根が張る植物、たとえばクローバーなども今年から菜の花と同時に試みていきます」
蔵多 「私たちの大学で菜の花プロジェクトが始まっていたことに、天命のようなものを感じます」

 

 

 

講義を超えて、できることを。
災害ボランティア演習

 

蔵多 「現在、いわき明星大学で一般教育の科目にも取り入れられている〈災害ボランティア演習〉についてもお聞かせください」
関口 「この演習は中越地震のボランティア活動に端を発します。その後は福島を中心に活動しています。広野町での清掃活動、会津地方や山形県では、高齢者世帯等の雪下ろしを手伝いました」
蔵多 「広野町は緊急時避難準備区域になってしまいましたね」
関口 「はい。震災の影響は受講生数にもあらわれています。昨年度は26名だったのですが、今年は110名もの学生が受講しています」
蔵多 「1年生がおよ400名ですから…」
関口 「4人に1人が受講するということになります」
蔵多 「!」
高山 「うれしい反面、昨年同様にきちんと講義できるか、教授たちは一生懸命やり方を考えていますよ(笑)」
上遠野 「約4倍ですものね(笑)」
関口 「正直、私自身もここまでの人数が集まるとは想像していませんでした。被災者や被災地を助けたい、という強い想いで動いているようです」
上遠野 「さらに今後は受講生と共に復興活動に参加することを模索しています」
蔵多 「ボランティアしながら単位が取得できるのがいいですね。しかし、講義とボランティアの違いが難しいですね」
上遠野 「そうですね。実際に学生に危険がないかどうかを確かめるために、先日教職員20名ほどで被害の大きい地域へ下調べに行きました。そこを明確にしてからの実施になると思います」
蔵多 「しかし、学生たちの動きは早いですね」
関口 「若い世代の意志を感じました」
蔵多 「非常に素晴らしいと思います」

 

知の拠点として、できることを。
いわき市内での公開講座

 

 

蔵多 「以前から公開講座を実施していますね」
秋山 「開学以来、毎年春と秋に大学で実施してきたのですが、昨年度からは街の中心部の施設を借りて行いました」
蔵多 「反響はいかがですか」
秋山 「高齢者を中心に、200名前後の受講者が集まりました。心理系と薬学系の講座〈くすりとこころ〉など、盛況でしたね。大学のPRにもなります。昨年から、いわき市だけではなく、福島県北部から茨城県北部にかけての太平洋沿いという広範囲にわたって展開しました。今年も続けて欲しいという声に応えようと意気込んでいたところに、震災です」
蔵多 「今年の講座内容はどうなるのでしょう?」
秋山 「第1回目は科学技術学部の先生による〈新聞記事から読む放射能の問題〉というテーマで現在の放射線量や、実際に放射能がどのような影響を与えるかを講義します。そして2回目は人文学部の先生による〈いわき市の復興について〉、3回目は薬学部の先生による〈感染症の予防〉という講座を予定しています」
蔵多 「大学は知の拠点。いろんな叡智をぜひ地域の復興に役立てていければと思います」

 

 

子どもたちに、できることを。
環境エネルギー教育リーダー
 

蔵多 「他にも私たちが地域に貢献できること、既に始まっていることがありますか?」
関口 「長い視点では科学技術学部の取り組みE3〈Education for Environment and Energy〉リーダーの育成がありますね」
蔵多 「環境エネルギー教育において、指導的な役割を果たせる学生の育成を目標とした制度ですね。以前の学苑報にご登場いただいた生命環境学科の緒方さんと石川さんを思い出しますね」
関口 「彼女たちは福島県が主催するグローバルエコ交流プログラムに参加し、中国湖北省を訪問。中国の環境問題について学んできました」
蔵多 「大学独自の資格認定制度を設けるという画期的な取り組みでしたが、その後の状況はいかがですか」
関口 「昨年度は初級のE3スタッフが37名、

 

環境ボランティアにも寄与できるレベルのE3チューターが29名、環境教育の現場で指導・マネジメントができ、企業においても環境関連ISO取得等の業務の中心となれるE3リーダーが4名、認定されました」
蔵多 「着実に人が育っていますね」
関口 「小学校や中学校から、子どもたちに話をしてほしいというオファーも増えてきました」
蔵多 「放射線の問題がつづくこの福島で、地球の環境エネルギーを深く考え、未来を担う子どもたちに伝えていく。非常に意義深い取り組みだと思います」


 

日を乗り越えて始まった。
いわき明星大学ボランティアセンター
 

蔵多 「3月11日。震災時はどのような状況だったのでしょうか」
高山 「春休みでしたので学生が少なかったことが不幸中の幸いでした」
上遠野 「何カ所か漏水が起きまして、それらの対応に追われていました。そして、地震の翌日から断水が始まり、普通の生活ができなくなりました」
高山 「これは日野に頼るしかないとすぐに連絡を取りましたね」
上遠野 「4日後には日野の明星学苑からたくさんの生活物資が届きました。本当にありがたかったです」
高山 「いわき市に残っていた学生を東京へ一時避難させるバスの対応もしていただき本当に感謝しています。過酷な状況でしたが、なんとか対応できたのは、学苑本部の迅速な対応のおかげです」
上遠野 「いちばん大変だったのは学生の安否確認でした。春休みのため連絡が取りにくかったのです。全員の無事を確認できたとき、心の底からホッとしました」
蔵多 「講義を5月に始められてよかったですね。本当にみなさんの努力の成果です」
高山 「日野・明星大学のボランティアセンターにならい、昨年の10月から設立の準備を始めた〈いわき明星大学ボランティアセンター〉も1ヵ月半遅れての始動となりました」
上遠野 「4月に華々しくスタートする予定でしたが(笑)」
蔵多 「活動の中身もやはり震災対応が中心ですか?」
上遠野 「当初は福祉系の活動が中心になると予測していましたが、震災の影響もあり、災害ボランティアと一般のボランティアの2つに分けることにしました。設立されてから、まだあまり月日は経っていませんが、すでに60名ほどの学生が集まっています」
蔵多 「具体的にどのようなアクションが始まっているのでしょうか」
上遠野 「創立記念日の振替休日5月24日に教職員17名、学生6名が市内3カ所で津波被災した蔵の清掃、床下浸水家屋の泥出しなどを行いました」
蔵多 「現地でなければわからない、いろんなニーズがあるでしょう」
上遠野 「警戒区域からいわき市に転校してきた中学生のメンタルケア、被災した動物の飼育補助など、さまざまな活動を展開しています」
蔵多 「いわきには、風評被害の問題もありますが」

 

上遠野 「先日、いわきの農産物の安全性を訴えようと明星大学で農産物即売会を実施しました。11時の開店で、11時半には売りきれ。地元の方々の想いとパワーを感じました」
蔵多 「明星大学のボランティアセンターとも協働できるといいですね。東京にも、いわきのことを心配している学生や教職員がたくさんいます」
上遠野 「ありがたいです。ぜひノウハウや力をお借りできればと考えています」

 

 
 
高校生のいるキャンパス
 
 

蔵多 「現在、本学施設の大学会館を〈楢葉町災害対策本部いわき出張所〉として使用していただいていますね」
高山 「期限は設けず、事態が収束するまでお使いいただく予定です」
上遠野 「震災で校舎が使えなくなってしまった福島県立湯本高等学校の受け入れも行っています」
高山 「約1,000名の高校生が過ごしています」
蔵多 「キャンパスが、非常ににぎやかになりましたね」
高山 「活気がでました(笑)」
上遠野 「教室の割当を検討しなおすのが大変な作業でした。ただ先生方もすぐにご理解いただいて」
高山 「そうですね。スケールの大きなキャンパスや広い教室、大学内の充実した環境に、高校生たちはとても居心地良さそうにしています」
上遠野 「学食の売り上げが伸びました(笑)」
高山 「それから、自販機の売り上げも(笑)」
蔵多 「それはお互いにハッピーですね(笑)」
上遠野 「湯本高校の剣道部は、しばらく練習ができなかったのですが、大学の剣道場を使って練習ができるようになりました。大学の剣道部員と一緒に練習を行うこともあるみたいですよ」
一同 「それはいいですねぇ」
上遠野 「そしてなんとですね、湯本高校剣道部が福島県大会で優勝したんですよ。インターハイに出るんです!」
一同 「すばらしい(拍手!)」
関口 「理科部も大学の実験室を使っていますね。高校の先生と教授の交流もあるみたいです」
蔵多 「より濃密に、地域との距離が近くなった感じがいいですね」
関口 「大学に対する新しい期待を感じます」
蔵多 「これまではどこか敷居の高い感じもあっただろうと思います。いま『お願いすれば、いわき明星大学はなんとかしてくれるぞ』というムードがいいですね。『私たちの、いわきの大学だ』そう思っていただけたなら、これほどうれしいことはありません」


 

この土地と、歩いていこう。
 

蔵多 「いわき明星大学の開学は、いわき市からの精力的な働きかけに明星学苑が応える形で実現されたビッグプロジェクトでした。児玉九十先生、児玉三夫先生が当時のいわき市長と綿密な打ち合わせを重ね、昭和62年に開学したわけですが、今こそ、これまで以上に地域に寄り添って、共に歩む時期だと思います」
関口 「いわき市といっしょにこの地の未来をどう築き直していくか。福島県浜通りの大学として、新しい大学のありようを、新しい大学の価値を、この1、2年をかけてみなさんと模索できればと考えています」
高山 「手前味噌かもしれませんが、この街には、いわき明星大学が必要です。原発問題は収束していませんが、人を呼べるという大学の機能が、今も、これからも重要になってきます」

上遠野 「どんなことができるか、私にはまだまだわからないこともたくさんあります。これまで以上に学苑本部と手を取り合って、まずは地に足のついたボランティアを実施していこうと思います」
秋山 「施設を貸してもらえませんか、と今も問い合わせをたくさん受けるんですよね。現在、いわき市内の公共施設は『震災対応』のためほとんどが使用不能です。できる限り広く施設を開放していきたいです」
蔵多 「常磐ハワイアンセンター(現スパリゾートハワイアンズ)が地域を開発したように、いわき明星大学には産業と共存しながら地域の発展に寄与するという役割がありますからね。大変でしょうけれど、共に力を合わせて頑張っていきましょう」

 

一同 「ふるさと・いわきのために」
    「明星という、ひとつ屋根の下で」
蔵多 「ありがとうございました」
一同 「ありがとうございました」